事務所にケーブルを通すための配管があちこちにある、ということはわかっているけど、この配管にどうやってケーブルを通したらいいのかよくわからない。
こういった疑問や不満を持つかたもいらっしゃるかと思います。
- ケーブルが床の上で垂れ流しになっている
- 露出配線されたケーブルが、躓く原因になっていて危ない
- 台車を転がすときにケーブルやモールがとにかく邪魔
配管を利用して配線すれば、そういった部分が減り、ケーブルの露出度も少なくなるので、全体的にスッキリさせることができます。
配管は基本的には、室内に一定の間隔でマトリクス状に配置されていることが多く、ある程度の範囲の配線を網羅できるように設計されています。
配管の出口にフィットするように、机や機器などのレイアウトを決めれば、
- 配管出口から離れた場所までモールを貼ったり
- 配管出口からフラットケーブルに変換したり
というような余分なひと手間を省略でき、見た目もスッキリ。
配線にかかる工数、コストも削減できます。
せっかく配管があるのに使わないのはもったいない!
ということでこのページでは配管での配線についていろいろと紹介していきますね!
配管の種類
一口に配管といっても、その種類は多岐に渡ります。
- 配管のフタの形状
- 配管の太さ
- 配管の形
- 配管の材質
などなど今ある配管設備はどういったタイプのものなのか?
まずは把握する所から始めましょう。
配管のフタの種類 (丸穴タイプ その1)
丸穴タイプは最も多いタイプのフタです。
ホームセンターなどでも購入することができます。
プラスドライバーを使って、フタの取り付け、取り外しが簡単にできるのが特徴です。
フタの真ん中部分にあるキャップは取り外し可能となっており、そこにケーブルを通す形になります。
外したキャップはその配管のボックス内に入れておくか、どこか1ヶ所に集めて保存しておくようにしましょう。
配管のフタの種類 (丸穴タイプ その2)
丸穴タイプその2は、前述の丸穴タイプその1と機能的に同じですが、フタの取付かたが異なります。
丸穴タイプその1と異なりビスを使用せずに、フタ自体を回転させることで取り付け、取り外しを行います。
ただし、水で錆びたりしていると、フタの開け閉めが困難になり、最悪の場合、開けることができない、あるいは閉めることができない、といったことにもなりかねません。
配管付近での水を使用した清掃は控えるようにしましょう。
配管のフタの種類 (アップコンセントタイプ その1)
アップコンセントタイプその1は、ケーブルの取り出し口がせり上がるタイプの配管のフタです。
ケーブルの出し口の周りが、ゴムラバーで保護されているので、ケーブルの断線や損傷を防ぐことができます。
LANや電話、電気の差込口を、直接配管のフタに取り付けることも可能です。
ただし、差込口をフタに取り付けた場合には、室内清掃時には十分に注意する必要があります。
フタを閉めている状態での防水加工はされてはいますが、床と配管の接続部にどうしても隙間が空いてしまうケースがあるので、防水は必ずしも万全とはいきません。
漏電を避けるためにも、配管出口付近での水を使用した清掃は控えるようにしましょう。
また、アップコンセントは構造上、丸穴タイプのものよりも上部にせり出す形になるので、配管付近を歩く時につまずきやすくなっているので注意が必要です。
配管出口部分は通路部分にしないように、できるだけ机や機器類の下に隠れるような配置を心がけるようにしましょう。
配管のフタの種類 (アップコンセントタイプ その2)
アップコンセントタイプその2のフタは、配管を使用しない時に、ボックス内に収納しておくことができません。
その代わり、ケーブルの出し口の方向を変更することができます。
前述のアップコンセントタイプその1と同様、上部にせり出す形になるので、できるだけ配管が通路上に来ないようなレイアウトを心がけるようにしましょう。
フロアダクト その1
フロアダクトは表面部分は配管に見えても、実際の床の内部ではダクト構造になっています。
通常の配管は筒状のものを敷設しますが、口径は大きくてもせいぜい30mm程度しかありません。
そうなると配管内に配線するケーブルの本数が多くなると厳しいものがあります。
その点、フロアダクトでは通常の配管よりも、配線できるスペースが大きいです。
当然、通常の配管に比べて配線可能なケーブルの容量も大きくなります。
フロアダクト その2
フロアダクトの中には、ケーブルの種類を分けられるように、複数の隔壁が設けられているタイプもあります。
分け方の代表的な例としては「電気、電話、LAN」の3種類が多いです。
隔壁で分けることにより、電磁波の相互干渉が軽減され、物理的にも保護されるので、ケーブルにとってはとても良い状態であるといえるでしょう。
配管の経路の種類
部屋の各所に配管があることはわかっているけど、実装にはどうつながっているんだろう?
配管の出口の位置関係を見れば、大体の予想はつくものの、実際には予想とかけ離れていることも少なくありません。
本来つながっているであろう場所につながっていなかったり、逆に思わぬ場所につながっていたりと、実際に通線してみないことにはわからないこともあります。
配管の経路はいくつかのパターンに当てはめてある程度絞ることができます。
それらのパターンを覚えておけば、ケーブルを配線するときに役に立ちます。
配管の経路 その1
配管の経路その1は縦と横の両方が他の配管BOXにつながっている、一番オーソドックスな配管の経路ですね。
このタイプの配管経路は、ケーブルを配線するときに、縦と横の両方のルートを利用できます。
ルートの選択肢が多くなるため、比較的ケーブルを分散させやすいです。
その分ケーブルを多く配線することができるんですね。
配管の経路 その2
配管の経路その2は、配管BOXの外周を囲うように接続されており、配管の外周の内側は縦か横の一方向でつながっています。
ケーブルを配線するときに、目的の場所が配管の同じ筋になれば、最短のルートで配線することが可能です。
しかし、ひとつでも筋が違えば外周経由での配線になります。
外周にある配管BOX以外は、基本的に縦か横の一方向でしかつながっていないので、ケーブルの配線ルートが重複しがちになります。
あまりにもルートが重複しすぎてしまうと、すべてのケーブルを配線しきれない可能性があります。
配線ルートについては事前にしっかりと確認しておくことをオススメします。
配管の経路 その3
配管の経路その3は、基本は縦か横の一方向のつながりのみで、筋をまたぐ場合は部屋内の端の配管BOXを経由しなければなりません。
前述の配管の経路その2のタイプよりも制限が多く、ケーブルの配線容量もそれほど多くありません。
配管の経路 その4
配管の経路その4は、配管が一筆書きでつながっています。
方向の分岐がない分シンプルでわかりやすい反面、ケーブルの配線ルートが重なるため、配線容量はかなり制限されてしまいます。
配管の経路 その5
配管の経路その5は、前述の配管の経路その4と同様、一筆書きでつながっています。
やはり方向の分岐がないので、ケーブルの配線ルートが重なり、配線容量も多くありません。
ここまでくると配管を無理に利用するよりはモールを使ったほうがいいかもしれませんね。
配管の経路 その6
配管の経路その6は、縦横、垂直、水平の90度単位ではなく、ジグザグにつながる形状になっています。
基本的に一筆書きでつながっていて方向の分岐がないので、ケーブルの配線ルートが重なり、配線容量も多くありません。
配管の経路 その7
配管の経路その7は、配管が床だけでなく、壁にもあるパターンです。
壁の配管は床配管の比べると分岐するケースが少ないです。
その代わり、床どうしの配管に比べて次の配管へと続く長さがより長くなることが多いです。
配管の経路 その8
配管の経路その8は、最寄りの床と壁の配管がつながっているタイプになります。
壁どうしの配管よりも短くてすむことが多いので、比較的ケーブルの配線を行いやすいのが特徴です。
配管の経路 その9
配管の経路その9は、前述の配管の経路その7と配管の経路その8を組み合わせた形状になっています。
壁と床の間の渡り配管は1ヶ所のみで、そこから以降は壁伝いに配管されています。
配管の経路 その10
建物内の配管は室内だけで完結するのではなく、室外へとつながるように設計されています。
室外へのつながりのある配管は部屋ごとに1ヶ所から数ヶ所用意されています。
通称「第一BOX」とよばれます。
室外へのつながる先としては、廊下や建物のEPS内にある、配管の中継BOXであったり、IDFなどの端子盤だったりします。
それらの中継BOXや端子盤を経由して、別の部屋や別のフロアへとつながっていきます。
配管での配線に必要な道具
配管内にケーブルを通すためには、必須となる道具がいくつかあります。
順番に紹介していきましょう
通線ワイヤー
通線ワイヤーは配管にケーブルを通す時に呼び線の役割を果たします。
呼び線とは、ケーブルを通線させるために、事前に入れておく線のことをいいます。
通線ワイヤーは細い鉄の繊維をより合わせて作られており、強い弾力性があります。
その弾力性の強さを利用して配管に通線するんですね。
短くて直線的な配管経路であれば、ケーブルを直接配管に挿入して通せることもあります。
しかし、長くて曲線的な経路の場合には、通線ワイヤーがなければ配管内を通すことはほぼ不可能です。
通線ワイヤーは配管での配線時に一番必要となる道具なのです。
入線潤滑剤
配管によっては配管内が錆び付いて老朽化していたり、既に別のケーブルが入っていることがあります。
そのような状態の配管に対して、普通に通線ワイヤーを通そうとしたところで、中々通せるものではありません。
そこで活躍するのが入線潤滑剤。
この入線潤滑剤を配管や通線ワイヤー、ケーブルに塗ることでスムーズに配管内を通すことができます。
入線潤滑剤を使用せずに、無理に配管内を通そうとすると、配管の入線途中でケーブルが断線したり、ケーブルを抜くことができなくなったりすることがあります。
中には通線ワイヤーごと抜き差しならない状況になり、最悪の場合切断して残置、ということもありえます。
少しでもキツそうだな、と感じたらこの入線潤滑剤を使用するようにしましょう。
ビニールテープ
ビニールテープは通線ワイヤーにケーブルをくくりつける時に使用します。
細いケーブルであれば、通線ワイヤーの先端の丸穴に通して結びつければいいのですが、丸穴に通らない太めのケーブルや、複数本のケーブルを同時に配管に通すときには、ビニールテープで束ねる必要があります。
このビニールテープは、配管内にケーブルを通す時以外にも使用するケースが多いので、何らかの配線をする時には必須となるものの1つと考えてください。
配管での配線の施工手順
ここからは実際に配管にケーブルを通すときの手順について説明していきますね。
施工手順 その1
配管出口Aと配管出口Bの間にケーブルを通すとします。
施工手順 その2
配管にケーブルを通す時には、まず配管の取り出し口のフタを開けておきましょう。
ほとんどの配管のフタはネジで閉められているので、プラスドライバー(もしくはマイナスドライバー)でネジをはずして配管のフタを開けます。
施工手順 その3
配管のフタを開けると、中は空洞になっており配管の口がいくつか確認できます。
この配管の口にケーブルを通すことになります。
施工手順 その4
ケーブルを通すために、ケーブルのルート上に必要となる箇所の配管のフタを開けておきます。
施工手順 その5
配管にケーブルを通すときに必要になってくる道具が通線ワイヤーです。
通線ワイヤーは鉄の繊維をより合わせて作られているので、強い弾力性があります。
そしてワイヤーの先端部は配管内を通しやすいように、鉄で加工されており、ケーブルをくくりつけるための穴が空いています。
とにかく配管でのケーブル配線時には通線ワイヤーは必須です。
施工手順 その6
配管の向きを確認したら、配管に通線ワイヤーの先端を入れていきます。
施工手順 その7
反対側の配管の出口からワイヤーが出るまで、どんどん入れていきます。
通線ワイヤーがスムーズに挿入できる場合は問題ないのですが、古い配管や既に何本かケーブルが入っている場合には、中々通線ワイヤーを通せない時があります。
こういった時には入線潤滑剤をこまめに塗っておくことで滑りがよくなり入線しやすくなります。
施工手順 その8
反対側の配管の出口から、通線ワイヤーが出てきたことを確認します。
施工手順 その9
ここで、配管内に通したいケーブルをビニールテープを使って通線ワイヤーにくくりつけます。
施工手順 その10
簡単に取れないように、しっかりとビニールテープで固定します。
ただし、配管内のスペースに余裕があり、するすると抜き差しができるようであればガチガチに固定する必要はありません。
ガチガチに固定してしまうと、外す時にも手間がかかりますからね。
施工手順 その11
通線ワイヤーにケーブルをくくりつけ終わったら、通線ワイヤーを挿入した配管のほうから、ゆっくりと通線ワイヤーを引き抜きます。
あまり強く引っ張ってしまうと
- 通線ワイヤーからケーブルが外れてしまったり
- ケーブルが断線したり
- ケーブルを傷付けてしまうことがある
ので力加減には常に注意をはらいましょう。
特に配管の入口、出口付近ではケーブルがひっかかりやすいので注意が必要です。
施工手順 その12
機器まで必要となる長さの分まで、ケーブルを引っ張ります。
ここでいう必要な長さは、ギリギリの長さではなく、2割ていどは余分に長さを見ておくことをオススメします。
余長があればちょっとした位置の変更にも対応できますからね。
施工手順 その13
配管にケーブルを通線し終わったら、配管のフタの処理を行います。
施工手順 その14
まずはフタを閉める前に、フタの真ん中の穴にケーブルを通します。
施工手順 その15
フタの真ん中にケーブルを通し終わったら、そのフタを元のとおりに閉めましょう。
施工手順 その16
反対側の配管のフタも同じように、フタにケーブルを通したあとで元のとおりに閉めます。
配管の出口の場所によってはもうひと工夫必要
配管の出口が机や機器の下など、あまり邪魔にならない場所であれば特に問題ありません。
一方、通路の真ん中などの邪魔になってしまう場所であれば、もうひと工夫する必要があります。
- 配管から取り出した先はモール処理を行う
- 配管のフタからケーブルは直接出さずに、配管ボックス内でフラットケーブルに接続替えを行い、配管のフタから出た先はカーペット下を配線する
このように配管を通らない部分の配線も考慮しておくことが大事です。
配管での配線時のポイント
ここからは、配管で配線するときに、押さえておくと便利なポイントについて説明していきましょう。
ポイントその1 通線ワイヤーの代わりにスケール(メジャー)を代用できる
- 配管の出口と出口の間の距離が短い時
- 配管にケーブルが通っていない空の状態の時
- 配管の口径が太くてスペースに余裕がある時
このようなケースのときは、通線ワイヤーの代わりにスケール(メジャー)を代用したほうが楽にケーブルを入線できることがあります。
通線ワイヤーはいかんせんサイズが大きいので、施工場所によっては持ち運びや取扱いしにくいケースがあります。
その点、スケール(メジャー)であれば持ち運びも楽で、狭い場所でも通線ワイヤーよりも取扱いやすく入線作業もはかどります。
配管に入線するスケール(メジャー)を選ぶときのポイントとしては以下のようなものが望ましいです。
- 鉄もしくはステンレス製、もしくは弾力製の強い材質でできていること。
- 幅があまり広くないもの(できれば19mm以下のもの)
- 計測用途ではないので、できるだけ安く済むもの (入線で使うので損傷しやすい。消耗品として考えましょう)
スケール(メジャー)入手後は、先端の引っ掛け部分を平坦に加工しておくと、より配線しやすくなります。
ポイントその2 先端にコネクタがついているケーブルは先端をテープで保護しよう
先端にコネクタがついているケーブル(例えばLANケーブル)を配管内に入線するときには注意が必要です。
先端にコネクタがついていると、配管内に入線しているときに次のような不具合が生じることがあります。
- 配管内で引っかかりやすくなる(最悪の場合抜けなくなる)
- コネクタが破損してしまう
- 他のケーブルを傷付けてしまう
このようなことが起こらないように、配管への配線を始める前に、まずは先端のコネクタ部分をビニールテープで保護します。
この時、できるだけ凹凸ができないよう、なだらかにビニールテープを巻くように心がけましょう。
ポイントその3 複数本のケーブルを配管に通す時は先端を少しずつずらそう
複数本のケーブルを配管に入線するときにも注意が必要です。
配管に通したいケーブルが複数本あるときは、通線ワイヤーもしくはスケール(メジャー)にケーブルを付ける前に、ビニルテープで束ねておく必要があります。
しかし、束ねるときにケーブルの先端を揃えて束ねてしまうと、配管内や配管の入口、出口付近でひっかかりやすくなり、とても通線しずらい、あるいは通線できなくなることもあります。
そうならないよう、ケーブルの先端部分はある程度距離をずらして束ねるようにしましょう。
束ね方ひとつで配管の通線のしやすさが大きく変わります。
ポイントその4 ケーブルだけで配管に通せることもある
配管の距離が短い時や配管の口径が太いときは、通線ワイヤーやスケール(メジャー)を使わなくても、ケーブルだけで配管に通線できることもあります。
ケーブルを何もしない素の状態で配管に通そうとすると、ケーブルの先端の切り口部分やコネクタ部分がひっかかってしまい、通線できません。
そういうときは、あらかじめケーブルの先端部分から10cm程度折り曲げます。
折り曲げて丸みを帯びさせることによって、配管内で引っかかりにくくなり通線しやすくなります。
ポイントその5 ケーブルを引っ張るときは配管とできるだけ同じ方向に
配管からケーブルを引っ張るときに、配管の向いている方向と垂直方向にケーブルを引っ張ってしまうと、次のような不具合が生じます。
- ケーブルの被覆が傷つきやすくなる
- 配管との摩擦熱で被覆が溶ける
- 配管の出口でケーブルが擦れて断線してしまう
配管からケーブルを引っ張るときには、できるだけ配管の方向と同じになるように引っ張るように心がけましょう。
ポイントその6 念のため養生シートや雑巾を用意しておこう
- 入線潤滑剤を使って配線をした
- 配管内に水が溜まっていた
- 配管内が錆び付いていた
このような状態で、ケーブルをそのまま引っ張りだしてしまうと、ケーブルや通線ワイヤーに付着した入線潤滑剤や水、錆で周囲を汚してしまうことがあります。
入線潤滑剤がタイルやフローリングなどの床に付着してしまうと、とても滑りやすい状態になってしまい、転倒事故の原因にもなるので非常に危険です。
そうならないよう、事前に養生シートや雑巾を用意しておき、次のような対処をおこないます。
- あらかじめ養生シートを敷いておき、通線後のケーブルや通線ワイヤーで床を汚さないようにする
- 通線後のケーブルや通線ワイヤーについた汚れを雑巾で拭き取るようにする
- 汚れた床を雑巾でキレイに清掃する
備えあれば憂いなし、です。
ポイントその7 場所の条件が悪い配管は無理に使用しない
次のような場所にある配管は無理に使用しないほうが無難です。
- 椅子の稼働範囲にある配管 (椅子を動かす時に邪魔になる。ケーブルの損傷の原因になる)
- 金庫やキャビネットの真下にある配管 (ケーブルが下敷きになってしまう)
- 通路の真ん中にある配管 (転倒の原因になる。ケーブルの損傷の原因になる)
条件の悪い配管出口を利用するくらいなら、目的の場所から少し離れることになっても、できるだけ邪魔にならない配管を選んだほうがいいでしょう。
確かに配管内にケーブルを通せば、その間のケーブルの保護処理は別途する必要はありません。
しかし配管を利用することで却って邪魔になってしまっては利用する意味がありません。
- 机や機器の下の空間
- 金庫やキャビネットの下敷きにならない
- 通路の邪魔にならない
- 椅子の足元の邪魔にならない
これらの条件に満たない場合は、無理に利用しないことをおすすめします。
配管を使用した配線例
配管を使用した配線のときに、主に必要となるケーブルの代表として次の3種類が挙げられます。
の3つです。
各々配線の起点になってくる部分は異なってきますが、全体的な配線ルートとしては、ほとんど差はありません。
配管の太さによって、実際に配管に通せるケーブルの本数が異なってきますので、配管のルートをある程度分散させることが大事です。
配管を使用した配線 電話線の配線ルート例 その4
基本的にはビジネスフォン主装置(PBX)から内線電話機間への電話ケーブルの配線が必要になります。
上記の図に書いているポイントを押さえておけば、配管を使った配線ルートはおのずと限られてきます。
台車の通り道を確保したり、見映えなどを考慮していけば、自然と良い形に仕上がることでしょう。
配管を使用した配線 LANの配線設計例 その3
LANケーブルの配線の起点は大元のSW-HUB(スイッチングハブ)からとなります。
大元のSW-HUBから、各端末や各机の島にあるSW-HUBへLANケーブルを配線します。
LANケーブルの必要な端末が多くかたまって設置する場所に、SW-HUBを配置することで次のようなメリットがあります。
- 使用するケーブルの量を減らすことができる
- ケーブルの配線にかかる労力、費用を抑えることができる
- 各島のSW-HUBに空きポートがあればそこから簡単にケーブルを配線できる
逆にこの形態でのLANケーブルの配線には次のようなデメリットがあります。
- SW-HUBが故障すると、その配下につながっているすべての端末が通信不可になる
- 設置するSW-HUBの台数分の費用がかかる
- 各島1本の幹線で通信をまかなうため、端末~端末間の通信速度が遅くなる
トータルコストの安さと設計のしやすさ、拡張性の高さからこのタイプの配線設計が一番多く見受けられます。
基本的な配線ルートは電話用ケーブルとほぼ同じです。
配管を使用した配線 LANの配線設計例 その4
LANの配線設計例その3と同様、配線の起点は大元のSW-HUBからになります。
この配線例では大元にポート数の多いSW-HUBを用意し、中継のSW-HUBを使用せずに全てダイレクトに端末に配線します。
LANの配線設計例その3に比べて、大量のLANケーブルが必要になり、配管の口径も大きなものが必要となってきます。
その代わり全ての端末が同一のSW-HUB上に直接接続されることになるので、次のようなメリットがあります。
- 端末~端末間の通信速度が向上する
- 各島に設置するSW-HUBが不要
逆に次のようなデメリットがあります。
- 1本あたりの配線にかかる労力、費用が高くなる
- 大量のケーブルが配線されることになるので、各所でケーブルがかさばる
- 将来の増設を見越した上での配線設計が必要となる
この配線設計例は、配管を使用しての配線にはあまり向かないですね。
基本的な配線のルートは、電話線とほぼ同じになっています。
最後に
配管を使用した配線は次の要素に大きく左右されます。
- 配管の取り出し口の設置状況
- 配管の太さ
- 実際に使いものになるか(錆びがひどくて通らない、地震で歪んで通らない)
- 配線するケーブルのボリューム
基本的には配管を使用した配線では、モールやフラットケーブルと併用して施工されるケースが多いです。
しかし
- 極力モールは使用したくない
- フラットケーブルを使用できる環境ではない
- とにかくケーブルを目立たなくしたい
という場合は、配管の取り出し口に合わせたレイアウトにするしかありません。
ともあれ、このページに興味を持たれた方は配管を使った配線にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきましてありがとうございます。